車においては今や標準装備となっているエアバッグですが、バイクにおいてはまだまだ普及していないのが現実です。バイク用のエアバッグの存在すらも一般的にはあまり知られていないかもしれません。
今回はそんなバイク用のエアバッグの中でも、ワイヤレスエアバッグシステムに注目して、その仕組みやオススメ商品をご紹介していきたいと思います。
ワイヤレスエアバッグシステムとは?
ワイヤレスエアバッグシステムについて説明する前にまずは、バイク用のエアバッグについて知る必要があります。
車のエアバッグは車体に搭載されているものがぱっと思い浮かぶと思いますが、バイク用のエアバッグはジャケットタイプの着るエアバッグが主流です。
ここであえて「主流」と言ったのには理由があり、実は車と同じように車体に搭載されたエアバッグも存在します。しかし、まだ試作車レベルであったり、限られた車種にしか搭載されておらずマイナーなのが現状です。
今回ご紹介するワイヤレスエアバッグシステムは前者の着るタイプのエアバッグになります。
バイク用エアバッグには2種類ある
バイク用の着るタイプのエアバッグは、大きく2種類に分けることができます。
それは起動方式の違いによるもので、ワイヤー方式とセンサー方式があります。エアバッグが内蔵されたジャケットにはエアバッグを作動させるための”きっかけ”が必要である、それをワイヤー、もしくはセンサーが担っているということです。
本記事でご紹介するワイヤレスエアバッグシステムについて説明する前に、まずはより一般的で昔からあるワイヤー方式についてご説明します。
ワイヤー式のエアバッグにはピンがついており、予めそのピンとバイクの車体とをワイヤーで繋いでおきます。
ライダーが投げ出されるとワイヤーの先にあるピンがジャケットから抜け、エアバッグが展開するという方式です。単純な仕組みでバッテリーなども不要なため価格も安いのがメリットですが、乗り降りのたびにワイヤーを付け外ししないといけない点がデメリットと言えるでしょう。
ワイヤレス方式(センサー方式)について
このワイヤー方式のデメリットを改善するために開発されたのが、センサー方式のエアバッグになります。
これが今回ご紹介するワイヤレスエアバッグシステムとなります。
センサー方式では衝突や転倒の動きをセンサーが感知してエアバッグを展開するため、電源を入れいつも通りバイクに乗るだけでよく、ワイヤー式のように車体と繋ぐ手間が不要です。
車体と繋いだことを忘れ、バイクを降りた瞬間にピンが外れてエアバッグが起動するといった心配もありません。このように聞くと、センサー方式のエアバッグはメリットばかりのようにも思えますが、実はデメリットもあります。
それは付け外しの煩わしさはない分、バッテリー駆動のため充電切れに注意が必要ということです。いざという時に電源が入らなければもちろんエアバッグは展開せず全く意味はありません。またそれだけ好感度なセンサーを搭載している分、ワイヤー方式に比べて高額であるということも大きなデメリットと言えるでしょう。
しかし、これからのバイク用エアバッグの主流はワイヤレスタイプに変わっていくと思われ、技術の発達により、今挙げたデメリットが改善されたモデルも近い将来出てくるかもしれません。
オススメのワイヤレスエアバッグシステム5選!
ワイヤレスエアバッグシステムについて解説したところで、ここからはオススメのバイク用エアバッグを見ていきましょう。
ヘルメットなどに比べ、まだ義務とはなっていないため、メーカーや種類も限られてはいますが、今回はワイヤレスタイプ(センサー方式)のエアバッグに絞ってご紹介したいと思います。
D-air SMART JACKET LS SPORT(ダイネーゼ)
センサー式のエアバッグの開発をいち早くはじめ市場に投入したのがダイネーゼで、すべてワイヤレス方式となっています。
こちらは通気性に優れたモーターサイクルジャケットで、モーターサイクル用プロテクションの進化の頂点に立つ優れたアイテムと紹介されるモデルです。
その材質には耐摩擦性と伸縮性に優れたムジェッロファブリックが採用され、肩と肘には Pro-Armorを装備、最高レベルのプロテクション機能と快適性、自由度の高い動きを提供してくれます。
またダイネーゼ独自技術によるD-airは、従来のプロテクターを必要とせず、保護範囲全体にわたって均一なプロテクションと膨張を可能にしているという特徴があります。
SMART JACKET WOMAN(ダイネーゼ)
スマートジャケットシリーズの中でも女性専用として作られているモデルです。女性専用モデルと販売するあたりが、さすがバイク用エアバッグの先駆者と言ったところです。
こちらのモデルは袖なしタイプであるため、あらゆるジャケットの上または下に着用することができ、特におしゃれに気を使いたい女性にはうってつけのワイヤレスエアバッグシステムと言えます。
さらに、通気性に優れ簡単に折りたたむことができ、あらゆる道路状況にも対応する便利なベストに要約されたエアバッグと言えるでしょう。
ダイネーゼのセンサーは3つの傾斜センサー、3つの加速度センサー、GPSとまさに聴講生のセンサーが組み込まれており、1秒間に1000回モニタリングします。これによって、アイドリング停車中にバイクの振動が感知できていれば、たとえ信号停車中の追突などのもらい事故であってもダイネーゼのエアバッグシステムであればしっかりと機能してくれます。
TECH-AIR 5(アルパインスターズ)
アルパインスターズからもセンサー式のエアバッグが販売されています。
こちらは胸囲に約4センチの余裕さえあれば普段着用しているどのジャケットの下にも着用が可能というモデルです。
それにも関わらず保護エリアは胸部・背中・肩・上腕部・脇腹と広範囲に及び、合計6個の高性能センサーで1000分の1秒毎にモニタリングすることで、衝突前にエアバッグが展開するという特徴をもっています。
また無料の専用アプリで街乗り公道仕様と走行会などのサーキット仕様を切り替えることも可能となっています。
マグネットスイッチで自動で起動しスタンバイしてくれるのもいちいちセットする必要がなく、気兼ねなく着用できるためオススメです。
まとめ
今回はワイヤレスタイプのバイク用エアバッグについて、その仕組みやオススメ商品をご紹介しました。できるだけ使う機会のない方がいいものではありますが、車に比べ危険度の高いバイクだからこそ、これからは着るタイプのエアバッグの需要は伸びてくるでしょう。
以前と比べるとその見た目もよくなり、価格も一般のライダーでも手が届く範囲にまできたと言えます。
今すぐでないにせよ、導入をお考えの方は是非今回ご紹介した内容を参考にしてみてください。