WEBマガジン

排出ガス規制に伴いモデルチェンジしたバイクの最新情報

近年、環境保護のため自動車やバイクの排出ガスに対する規制が年々厳しくなっていることについては、ライダーの皆さんはよくご存じだと思います。昔は存在していた2サイクルエンジンが姿を消し、今ではすっかり4サイクルエンジンへと切替えられ、自動車だけの話と思っていた電気や水素エンジンなどを搭載したバイクすらも登場してきています。

今回はそんな排出ガス規制に伴い、モデルチェンジをしたバイクの最新情報をお届けしたいと思います。

新排出ガス規制とは?

令和元年 10 月に国土交通省から国内のバイクに関して新たに発表された排ガス規制のことを、ここでは新排出ガス規制とします。

発表内容を簡単にご紹介すると、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示を一部改正し、排出ガスを浄化する装置の劣化を監視する機能=車載式故障診断装置(OBDⅡ)の搭載が義務化されました。

また世界で最も厳しいとされるヨーロッパの「EURO5」と同等の「令和2年排ガス規制」として、新型車(全排気量)は令和2年12月から、継続生産車(原付一種のみ令和7年11月から)は令和4年11月から適用対象となります。

モデルチェンジしたバイク

上でご紹介した新排出ガス規制に伴い昨年から、モデルチェンジしたバイクがいくつもあります。中にはモデルチェンジせず、生産終了となった名車もあり、滑り込み需要があったモデルもいくつも存在しました。

今回は新排出ガス規制をクリアするためにモデルチェンジしたバイクの最新情報として5モデルをご紹介したいと思います。

Z900RS(カワサキ)

まずは近年の大型バイクの新車販売台数を独走するカワサキのZ900RSです。

ネオクラシック人気の後押しもあり、発売から高い人気を誇っているモデルなだけに、新排出ガス規制にももちろん対応し、継続生産されるだろうと言われていたとおりとなりました。

ビキニカウルを装備するカフェタイプも、豪華な足まわりを誇るSEタイプも全シリーズが継続生産されるというのも納得です。

スペック的には最高出力や最大トルク等に変更はありませんでしたが、WMTCモードにおける燃費が若干低下してしまっているのはやはり新排出ガス規制に対応した結果と言えるでしょう。

また全シリーズで金額として4万4000円上がっていますが、これは今回の排出ガス規制に伴い世界共通規格の車載式故障診断システムであるOBD‐IIの装備も義務づけられたため致し方ない部分ではあるかなと思われます。

レブル500(ホンダ)

Z900RS同様に、発売から250ccモデルの兄弟社とともに人気絶好調のホンダ「レブル500」についてもモデルチェンジしたものが1月26日発売となりました。

レブル500については今回のモデルチェンジ前にも、2020年4月にも最初のモデルチェンジを行っており、その際は、灯火類のLED化、新メーターの採用、アシストスリッパークラッチの搭載等が装備面でのモデルチェンジとなりました。

今回のモデルチェンジにおいては、そのスタイル等に変更はほぼなく、新排出ガス規制に対応した形となります。

最高出力や最大トルクについては従来のままで変更はありませんが、最大トルクの発生回転数が従来の6,500rpmから6,000rpmに変更されています。

さらに今回のモデルチェンジによりカラーバリエーションがマットジーンズブルーメタリックとパールディープマッドグレーの新色2カラーとなりました。

販売価格はこれまでの税込79万9700円から、税込83万6000円とこちらも値上げされました。

YZF-R25(ヤマハ)

2014年にデビューしたヤマハ「YZF-R25」も新排出ガス規制にあわせてモデルチェンジされました。過去のモデルチェンジでスタイリングの変更や倒立フロントフォークが採用され、昨年のマイナーチェンジにより平成32年(令和2年)排ガス規制に対応されました。またこのモデルチェンジの際にLEDウインカーが採用され、純正アクセサリーとしてクイックシフターも選択できるようになったのも大きな変更点と言えます。

また先日2023年モデルも発表され、今回は仕様や装備に変更はないもののカラーリングに新たダークブルーイッシュパープルメタリック3と呼ばれるパープルが登場し話題となっています。

同時に価格が改定され、これまでの税込66万8800円から税込69万800円にアップしています。

ジクサー(スズキ)

スズキのネイキッドバイクで軽二輪として人気のあるジクサーも1月27日にモデルチェンジを果たしました。ジクサーの一番の人気の理由がその高い燃費性能で、カタログ燃費でも50km/Lを超えるバイクです。

今回のモデルチェンジでは装備面に変更はありませんが、グラフィックが全色変更されました。スペック面では、新排出ガス規制に適合するため、エンジン出力等に小変更が加えられ、カタログ燃費が55.3kmから51.0kmへ、最高出力も14PS/8000rpmから13PS/8000rpmへと低くなりました。

元々コスパがいいモデルなだけに従来モデルから3万5000円の値上がりは少し残念な結果となりましたが、名車と呼べる軽二輪と言えるでしょう。

ADV160(ホンダ)

最後にご紹介するホンダのADV160は先にご紹介した4モデルと比較すると、フルモデルチェンジと呼ばれるレベルの変更となっています。

従来のADV150というモデル名からも分かるように新排出ガス規制に対応するとともに排気量が149ccから156ccへとアップした新設計の水冷4バルブeSP+エンジンを搭載、フレームも新設計となりました。これにホンダセレクタブルトルクコントロールも搭載され、ADV150からさらなる進化を遂げています。

スマートキーやテーパードハンドルバーは引き続き採用され、2段階調整式スクリーンは大型化、シート下ラゲッジボックスも容量が2L増加した29Lとなりました。

この他にも、USB充電ポート、タコメーターや外気温計など表示機能が追加されたメーターなど、価格はこれまでより2万2000円値上げされ47万3000円となっていますが、こちらも非常にコスパに優れた一台と言えます。

まとめ

今回ご紹介した排出ガス規制に伴いモデルチェンジしたバイクはほんの一部に過ぎません。また今後、排出ガス規制はより一層厳しくなることは避けられないため、これからもそれに対応するためのモデルチェンジは繰り返されていくでしょう。

中には規制に対応しきれずに生産終了となってしまうモデルもあるため、欲しいバイクがある方は今後も排出ガス規制やそれに伴うメーカーの動向について情報収集することが大切です。