バイクに乗る上で避けては通れないのが「転倒」のリスクです。理由は言うまでもなくバイクは二輪、タイヤが2つしかない乗り物だからです。
しかし、近年、この転倒のリスクから開放される夢のようなバイクが開発されていることをご存知でしょうか?自律バイク(自立バイク)と呼ばれるそれはその名の通り、人が乗らずともバイクそのものが自立し、倒れることなく動くバイクです。
今回は、将来バイクの常識を覆すかもしれないこの新技術についてご紹介したいと思います。
バイクに転倒リスクはつきもの?
自立バイクについてお話する前に、そもそもタイヤが2つしかなく、止まっている時はスタンドがなければ立てないバイクが、なぜ倒れずに走行できるのか皆さんご存知でしょうか?
バイクだけでなく自転車が倒れず走行できるのは「キャスター角」と「ジャイロ効果」と「重心」によるものだと言われています。ここではその内容については触れませんが、走行中にはなかなか転倒しないということはライダーの方であれば経験として分かっていることでしょう。
しかし、停車中、もしくは低速でのいわゆる立ちごけを経験されたという方は意外と多いのではないでしょうか?
そんな転倒のリスクを避けられるバイクこそが今回ご紹介する自立バイクです。
自立バイクってなに?
2017年1月、ラスベガスで開催された国際家電見本市(CES)にてホンダがHonda Riding Assistと呼ばれる自立バイクを実現する技術を発表しました 。
また同年10月にはヤマハが東京モーターショーにてMOTOROiD(モトロイド)と呼ばれる自立バイクを発表しました。
これらの技術に当時度肝を抜かれた人もいるのではないでしょうか。
翌2018年にはBMWも自立走行するバイクを発表しましたが、スタート時には人が支えなければならず、人が支えずとも自立できるホンダやヤマハとは少し異なる自立バイクであるため、今回はこのホンダとヤマハの2大メーカーの作る自立バイクに絞ってご紹介します。
ホンダ Honda Riding Assist
まずはこの分野の第一人者とも言うべきホンダの技術、Honda Riding Assistについてです。
バイクそのものが自立するために使われている本技術はホンダのロボット技術を一躍有名にした、あのアシモにも搭載されているロボティクス技術で、そこで培った“バランス制御技術”が活用されています。
バイクの姿勢をセンサーが感知し、ホイールの向きやハンドルの切れ角、キャスター角を自動調節することで、バイクが倒れずに自立するという仕組みのようです。
またこのバイクのすごいところは人が乗っていても、また多少押した程度では倒れないという点です。さらには低速での自走も可能であり、まさにSFの世界の乗り物と言っても過言ではありません。
現在もライディングアシストの研究は続いており、2021年11月に紹介された最新の自立バイクでは車体・後輪揺動機構を搭載することでハンドル操作がより自由になり細かな方向修正が可能となっています。
ヤマハ MOTOROiD(モトロイド)
ヤマハのMOTOROiDはホンダのHonda Riding Assistと同じように停車時の自立や自動走行が可能な自立バイクです。
ホンダがNC750をベースに自立バイクを作ったのとは異なり、ヤマハは生き物のようなスタイルの完全に見た目も近未来的な乗り物の自立バイクをゼロから仕上げているのが印象的です。
車体の下部には特徴的な3本のタンク形状のものを備えており、これが振り子のように左右に揺れることでバランスをとっています。実はこの部分はリチウムイオンバッテリーで、重さのあるバッテリーがオモリとしての役割を果たしている点も大変理にかなったマシンと言えるでしょう。
さらにMOTOROiDにはAIも搭載されバイクが人の顔を認識、ジェスチャーに呼応する機能も実装されている点も大きな特徴です。
まとめ
自立バイクについてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
今回は文字での説明ですが、発表当時の動画もアップされているので、興味のある方は是非一度ご覧になってみてはいかがでしょうか?
まだまだ研究段階のもので、実際に販売車に搭載される予定は今のところはないようですが、技術の進歩は目まぐるしく、将来転ばないバイクが公道を走るのも夢の話ではなくなってきたように感じられます。
もし、この技術が確立され市販車に搭載されればバイクの転倒による事故のリスクも減り、より多くの人がバイクに乗る楽しみを味わえるかもしれません。そんな未来が来ることを願いながら、メーカーの研究開発に期待しつつ、安全運転でバイクライフを楽しみましょう。