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2輪EV用バッテリーシェアリングサービス「Gachaco」(ガチャコ) ってなに?

ガチャコ(Gachaco)という言葉を聞いたことがあるライダーの方はどのくらいいるでしょうか?

ガチャコはこれからのバッテリーシェアリングサービスとしてスタートを切ったばかりの新サービスです。今回はこのガチャコについてどういったものなのか具体的に解説していきたいと思います。

株式会社Gachacoとは

差し迫る環境問題を受け、現在、世界規模で電動化の動きが活発化しています。

これに伴いENEOSホールディングスは2040年長期ビジョンの中で、低炭素循環型社会への貢献を掲げ、エネルギーサービスプラットフォーム事業の構築やモビリティサービス事業の創出に関わる様々な取り組みを進め、その一つとしてバッテリー交換インフラの構築を模索してきました。

同時にバッテリー仕様の共通化を進める国内の二輪メーカーである本田技研工業、カワサキモータース、スズキ、およびヤマハ発動機の4社は共通のバッテリーを利用し、サービス展開するパートナーを探していました。

その両者が出会い、ビジョンが合致したことで今年の4月1日に誕生した会社が株式会社Gachacoです。

電動バイク用の共通仕様バッテリーのシェアリングサービス提供と、シェアリングサービスのためのインフラ整備を目的とした新会社として設立され、その出資比率は、ENEOSが51%、ホンダが34%、カワサキモータースが5%、スズキが5%、ヤマハ発動機が5%となっています。

今後の流れ

それではこの新会社である株式会社Gachacoは今後どのようなサービスを展開していく予定なのでしょうか?現時点で分かっている情報をご紹介します。

共通仕様バッテリーのシェアリングサービス

まずは最大の目的であるバイクにおける共通仕様のバッテリーシェアリングサービスです。

2022年秋を目途に、電動バイク用の共通仕様に適合したバッテリー「Honda Mobile Power Pack e:」のシェアリングサービスを東京などの大都市圏から開始することを発表しています。バッテリー交換ステーションである「Honda Mobile Power Pack Exchanger e:」は、駅前などの利便性の高い場所や、ENEOSのサービスステーションなどへの設置が検討されているそうです。

共通仕様のバッテリーが普及すれば、バッテリー残量が少なくなってきても交換ステーションでただバッテリーを乗せ換えるだけでいいため、電動バイクの最大のネックである充電時間を気にする必要がなくなり、電動バイクの普及速度が飛躍するのは間違いないでしょう。

商業施設や住宅等に設置する蓄電池の普及

また将来的にGachacoは、電動バイク用だけにとどまらず、商業施設や住宅等に設置する蓄電池などの様々な製品においても共通仕様バッテリー利用促進を目指していくとのことです。

これにより、日常生活における電動化の促進はもちろん、小型電動モビリティをはじめ、新たなバッテリー駆動の家電等の登場も期待できるでしょう。

また新たなインフラとして構築されることで災害時や緊急時における電気切れを防げるというのも大きなメリットと言えます。

バッテリーの循環利用を促進

バッテリー再利用をより効率的に行えるように提案されたのが「BaaS(バッテリーアズアサービス、複合バッテリー制御システム)プラットフォーム」です。

これはバッテリーのリースやシェア、リユース、リサイクルが循環する仕組みのことで、これまで1次利用にとどまっていたバッテリーを、3段階での利用に拡大することを検討することが発表されました。

具体的には1次利用として上記で述べた電動バイクや小型EVに使用したバッテリーを回収して劣化評価した後、残存性能に応じて組み合わせることにより定置型バッテリーシステムとして商業施設や住宅用として2次再利用し、2次利用で更に容量が低下したバッテリーは、自律型街路灯など、低容量でも活用可能な用途で3次利用するというものです。

そして、3次利用を経て、寿命となった使用済バッテリーは、リサイクルにより資源化され新品バッテリーの材料として再利用し、将来的には、この一連の循環サイクルをクラウドシステムで一元管理し、バッテリー利用の最適化、最大化を図るということまで検討されているそうです。

まとめ

今回ご紹介したGachacoが普及すれば、バイクにおいても電動化の流れがより一層速くなると考えられます。もちろん、バイク乗りの方においてはガソリンエンジンだからこそのバイクだと考える方も多いとは思います。

しかし、将来的に脱炭素及び循環型社会への実現は避けて通ることができない問題です。だからこそ、国内のバイクメーカー4社もこれに賛同し新たな会社を設立したのでしょう。

ライダーによってはとても悲しい話にも聞こえるかもしれませんが、こういった新たな情報にも着目して、今のバイクライフを存分に満喫することも大切ではないでしょうか。