ヤマハのYZF-R15をご存じでしょうか?
155cm3と小排気量でありながらフルカウルのスーパースポーツモデルのバイクです。
本記事ではこのヤマハのYZF-R15の歴代モデルについてその変遷を詳しく解説していきます。
YZF-R15とは?
YZF-R15はヤマハ発動機株式会社によって2008年にインドで発売され、以降モデルチェンジを繰り返しながら世界中で人気を博すスポーツモデルのバイクです。残念ながら日本ではYZF-R25やYZF-R3があるため免許制度や税金区分の面からも正規販売はされてはいません。しかし、ヤマハの正規販売店であるYSPをはじめ、独自の輸入販売経路を持つバイクショップが全国にあるため、国内でも購入することは可能です。
150cm3クラスとは思えない見た目だけでなく、そのスペックや装備も排気量の異なる兄弟車と比較しても遜色のないバイク。それがYZF-R15です。
2008年モデル
YZF-R15は新設計の150cm3のSOHC4ストローク単気筒エンジンを搭載したスポーツモデルとして2008年に二輪需要の高いインド市場に投入されました。移動手段がメインでありスクーターがそのほとんどを占めるインドで、若者たちを中心に走りを楽しむためのバイクの皮切りとして発売されたモデルです。その後、東南アジアを中心に販売され現在に至っています。
外観は欧州ですでに販売されていたYZF-R125に似ていますが、パーツの簡素化などにより価格はYZF-R125よりも抑えてあるのが特徴です。
2011年モデルでの3つの変更点
YZF-R15の1回目のモデルチェンジは発売から2年後の2011年に行われました。ここでは「アルミアルミスイングアーム&リアラジアルタイヤ採用」「セパレートシート」「前後タイヤのワイド化」について詳しく解説しますが、この他にも以下のような変更が行われました。
・ECU制御変更(加速性能、高速走行性能の向上)
・新ミッドカウル、LEDテールライト織り込み新テールカウル
・軽快感を演出する新5本スポーク風キャストホイール
・リアアーム連動式マッドガード&サリーガード採用
アルミスイングアーム&リアラジアルタイヤ採用
まずはアルミスイングアームへの変更です。材質変更による軽量化のみならずロング化に伴い優れたコーナリング性に貢献しています。
また、リアタイヤがバイアスタイヤからラジアルタイヤへと変更されたことにより、ストリートからワインディングロードまで、幅広いステージでハンドリングの軽快さと乗り心地の快適性を実現しました。
セパレートシート
2008年モデルはタンデムシートまで一体型のシート形状でしたが、セパレートタイプへと変更されました。これによりスポーツ走行でのフィット感を向上させることに繋がっています。
見た目も大きく変わり、よりスポーティーさが増しましたが、セパレート化に伴いタンデム用のグラブバーは削除されました。
前後タイヤのワイド化
旋回性・安定性向上に寄与するのが前後タイヤのワイド化です。
前輪については80/90-17から90/80-17へ、後輪については100/80-17から130/70-R17へと変更されました。
2017年モデルでの4つの変更点
続いては、2011年のモデルチェンジから実に6年ぶりとなるフルモデルチェンジを果たした2017年モデルについて、その主な変更点について見ていきましょう。
排気量3%アップ
一番の変更点はやはり排気量が150cm3から155cm3へアップされた点でしょう。
排気量としてはわずか3%程度の増加にすぎませんが、出力は18.3%向上、実用燃費は4.7%の向上を図った新型の水冷155cm3エンジンが採用されました。
可変バルブ機構
排気量がアップした新型エンジンには可変バルブ機構(VVA)も搭載されました。これにより低回転域での非力さもカバーされるようになったことも大きな特徴です。
メーターにも7,400回転あたりからVVAの表記があり、この付近からエンジンの本領が発揮されるのを感じることができるでしょう。
倒立フロントフォーク
近年のバイクでは採用されることが多くなってきた倒立フロントフォークですが、それでもこのクラスに採用されることは珍しく、ヤマハの本気度が感じられます。
バネ下重量を軽くすることでよりコントロール性を高めることはもちろん、優れたショック吸収性能と良好なフロント接地感、剛性感にも寄与しています。
アシスト&スリッパークラッチ
倒立フロントフォーク以上に小排気量への採用は珍しいアシスト&スリッパークラッチが搭載されるようになったのも2017年モデルの大きな特徴と言えます。
クラッチ操作の軽さはもちろんのこと、シフトダウン時のバックトルクを軽減して車体の安定感にも貢献してます。
まとめ
日本では正規販売されてはいないものの、高い人気を誇るYZF-R15。
今回紹介してきた歴代モデルとその進化の変遷からも、小排気量でありながら充実の装備のスーパースポーツバイクであることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
コロナ禍により二輪への注目度が増す中、このクラスでのフルカウルスポーツバイクに今後増々注目が集まることも予想されます。YZF-R15のさらなるモデルチェンジにもまだまだ目が離せません。