あおり運転(妨害運転)と聞くと、車のイメージが強いですが、もちろんバイクにおいてもその危険は十分に潜んでいます。妨害運転そのものは車とバイクを区別しておらず、バイクにおいても該当行為があれば罰せられます。
どちらかと言えば煽られることの方が多い二輪ではありますが、今回は自分自身が加害者とならないための注意点を、あおり運転と呼ばれる行為の詳細と併せてご紹介します。
あおり運転とみなされる行為とは?
近年、あおり運転が取り沙汰され、誰しもが一度はドライブレコーダー等の映像をニュースなどで見たことがあるでしょう。しかし、実際に「あおり運転」とみなされる行為にはどういったものが該当するのかまで詳しくご存知の方は実は多くはないと思います。
そこで、まずはあおり運転とみなされる10個の行為について解説します。
通行区分違反
通行区分違反とは対向車線を逆走しながら周囲の車両の走行を妨害するなどの行為を指します。センターラインを越えて他の車に急接近するような運転も対象となります。
急ブレーキ禁止違反
道路交通法では、危険回避などのやむを得ない緊急の場合を除いて急ブレーキは禁止されています。相手への嫌がらせなどが目的で車両の前に回り込んで急ブレーキをかけるといった行為は、追突の可能性があり大変危険です。
ぶつけられた側だから自分に非はないと考える方もいるかもしれませんが、追突事故を招いた側として加害者になりうるので注意しましょう。
車間距離不保持
最も典型的なあおり運転の一つがこの車間距離不保持です。
後ろから相手の車に対して極端に近づきプレッシャーをかける行為を指します。一般的に前の車が急ブレーキをかけたとしても衝突を避けられる程度の車間距離が求められるため、速度が上がれば上がるほど車間距離を取る必要があります。不必要な接近はやめましょう。
進路変更禁止違反
急な車線変更や、方向指示器(ウィンカー)を出さずに車線変更する行為が該当します。本来は右左折や転回時には30m手前から、車線変更の場合は3秒前に点滅させ完了するまで続ける必要があります。そのためこれよりも短い場合は割り込みなどとみなされることもあります。
追越し違反
左からの追い越しや、反対車線や右側の走行車線を走る車にも危険を及ぼすような無理な追い越しを指します。対向車や横を走る車にも気を配りながら、安全かつ速やかに右側から追い抜くことが大切です。
減光等義務違反
ヘッドライトをいわゆるハイビームの状態で走行する行為です。もちろん前方や対向車線に車がいなければ問題ありませんが、ハイビームは非常にまぶしいため、前方や対向車線に車がいる際はロービームに切り替えましょう。また、後方からパッシングを繰り返すような行為もあおり運転とみなされる可能性があります。
警音器使用制限違反
不必要にクラクションを鳴らす行為が該当します。道路交通法では標識などで定められている場所、危険防止のためやむを得ない時にその使用は限定されています。
よって、合図や警告のためにクラクションを使用することは警音器使用制限の違反となり、何度も鳴らすような行為はあおり運転とみなされる場合もあります。
安全運転義務違反
蛇行運転や幅寄せのほか、急な加減速を行う行為などが該当します。バイクの片手運転は周りの走行を妨害する行為として、これに該当します。
最低速度違反
高速道路において低速で走行する行為を指します。道路交通法では高速道路を走行する際の最低速度を50km/hと定めているため、これ以下で走行していると、わざと走行を妨害していると判断される可能性があります。
高速自動車国道等 駐停車違反
駐車禁止と定められている高速道路や自動車専用道路で車を停め、他の車の走行を妨害する行為です。最低速度違反と同じく危険防止のためやむを得ない場合等を除き、わざと他車の走行を妨害する行為とみなされる可能性があります。
加害者にならないための対策
妨害運転、いわゆるあおり運転に該当する行為について解説しましたが、では、どうすれば加害者になることを防げるのでしょうか。今回は代表的な3つの方法をご紹介します。
ドライブレコーダーを装着する
車に比べバイクへの装着率はまだまだ高くはありませんが、ドライブレコーダーを設置しておくことで、あおり運転をされたという濡れ衣を着せられた際の防衛策にも役立ちます。
またカメラが見える位置に取り付けられていることで、撮られているという心理から余計なトラブルを回避できる可能性も高まるため、バイクへの装着もオススメです。
十分な車間距離を保つ
十分な車間距離を保つということは、他車に不必要に近づかないということです。あおり運転と言われる行為の多くが接近しなければ起こりにくいという点からも車間距離を取ることはシンプルですが効果的な対策と言えるでしょう。ただし、車間距離を取るために低速で走りすぎていると、後続車から反感を買い逆に煽られてしまう危険性もあるため、前方だけでなく後方の車との車間距離にも気を配って運転することが大切です。
あおり返さない
最後に最も大切なことが、煽られた場合にあおり返さないということです。煽られた瞬間はイラッとするでしょうが、ホーンを鳴らしたり、アクセルを吹かせたりすると相手をさらに怒らせ状況が悪化する可能性が高まります。君子危うきに近寄らずの精神でやり過ごすことも自衛策として効果的と言えるでしょう。
まとめ
今回はバイク側があおり運転の加害者とならないために注意すべき点をご紹介しました。公道に出るとどうしてもイライラしてしまうこともあるとは思いますが、事故を起こしたり、相手に危険な思いをさせるライダーは真のバイク乗りとは言えません。
被害者にならないことはもちろんですが、加害者にもならないよう、しっかりとマナーを守ったライダーとして安全安心なライディングを心がけ、楽しいバイクライフを送りましょう。