バイクは車と比較して危険が多い乗り物です。タイヤが2つしかなく転倒のおそれは常につきまといますし、体が直接さらされることもその理由の一つです。
そのため、ヘルメットをはじめプロテクターなどの安全装備も充実しています。
その中でも近年、エアバッグ内蔵型のジャケットが一般のライダーにも普及し始めていることはご存じでしょうか?今回はこのエアバッグ内蔵型ジャケットについて詳しくご紹介したいと思います。
バイク用のエアバッグとは?
以前に比べると普及し始めたとは言え、バイク用のエアバッグと聞いてもいまいちピンとこない人もいるでしょう。まずは、バイク用エアバッグの必要性とどのようなものなのかについて説明します。
バイク用エアバッグの必要性
現在、ヘルメットを被らずにバイクに乗っているライダーはいません。それは1986年に原付も含めすべてのバイクにおいてヘルメットの着用が義務付けられたからです。そのくらい頭部は重要だということですが、実はバイクにおける死亡事故で頭部に次いで多いのが胸部や腹部となっています。そのため、義務にはなっていませんが、自分の命を守るためにも胸腹部を保護するエアバッグは大切な装備と言えます。
バイクに搭載されたエアバッグ
バイク用のエアバッグは2種類存在します。最初にご紹介するのがバイク自体に搭載されたエアバッグです。こちらは車と同様に衝突時に膨らみライダーが前へ投げ出されるのを弱めるクッションの役割を果たすものです。しかし、この車載型のエアバッグはごく一部のバイクにしか搭載さえておらず、まだ各社開発段階といったレベルに留まっていると言わざるをえません。
ジャケット型の着るエアバッグ
バイク用のエアバッグと言えば、むしろこちらのジャケット型の着るタイプのものがメジャーと言えます。こちらは前でご紹介した車載型のエアバッグとは異なり、事故や転倒によりライダーが投げ出された瞬間にジャケットが膨らみ、首から胸腹部や腰(中にはお尻くらいまで)を包みこむように保護してくれるものです。そのため車載型のように正面衝突以外にも有効と言えます。
エアバッグ内蔵型ジャケットの仕組みをご紹介
ジャケット型のエアバッグがライダーがバイクから投げ出された際に膨らむ仕組みには大きくワイヤー式とセンサー式の2種類があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
ワイヤー式
まずはワイヤー式です。エアバッグ搭載のジャケットとバイクの車体をワイヤーで繋いでおき、ライダーが投げ出されるとワイヤーの先にあるピンがジャケットから抜け、エアバッグが展開するというものです。単純な方式で充電が不要なため価格も安いのがメリットですが、乗り降りのたびにワイヤーを付け外ししないといけない点がデメリットと言えます。
センサー式
ワイヤー式の面倒さを改善したものがセンサー式です。衝突や転倒の動きをセンサーが感知してエアバッグを展開します。そのため、ただ電源を入れバイクに乗るだけでよく、ワイヤー式に比べ圧倒的に煩さがないのが最大のメリットです。ただし、バッテリーの充電切れに注意が必要な点や高額であることがデメリットと言えます。
オススメのエアバッグ内蔵型ジャケット
最後にオススメのエアバッグ内蔵型ジャケットを3つご紹介します。それぞれに独自の技術や特徴があるため、自分にあったものを探す際の参考にしてみてください。
hit-air(無限電光)
国内メーカーである無限電光が手がけるのがワイヤー式を採用したhit-airです。ハーネスタイプとジャケットタイプのものが存在し、ジャケットタイプにはメッシュのものから防水防寒まで幅広いモデルがそろっています。国内メーカーならではのサポートの高さや、一度展開したエアバッグを自分で再生できるアクセサリー等も充実している点もオススメポイントです。
TECH-AIR 5(アルパインスターズ)
つづいてご紹介するのはアルパインスターズのセンサー式のバイク用エアバッグであるTECH-AIR5です。こちらは胸囲に約4センチの余裕さえあれば普段着用しているどのジャケットの下にも着用が可能という代物です。それにも関わらず保護エリアは胸部・背中・肩・上腕部・脇腹と広範囲に及び、合計6個の高性能センサーで1000分の1秒毎にモニタリングすることで、衝突前にエアバッグが展開するという特徴をもっています。
D-air(ダイネーゼ)
ダイネーゼはイタリアに本拠を構えるライディングギアの老舗です。TECH-AIR5と同じくセンサー式ですが、こちらはさらにGPSまで装備されており、正確な走行速度を解析することで事故・転倒時の動きを瞬時に捉えて起動するという特徴があります。これはワイヤー式に比べエアバッグの展開スピードが早いという利点のためダイネーゼが開発当初よりこだわってきたもので、実際にレーサー御用達となっていることからもそのクオリティの高さが伺い知れます。先にご紹介した2つのものよりお値段は張りますがそれだけの価値はあると言えるでしょう。
まとめ
以前はかなり高価だったバイク用のエアバッグ内蔵型ジャケットも最近はかなりお手頃な価格となってきました。見た目も普通のバイクジャケットと変わらないものや、今着ているジャケットのインナーとして着れる薄手のタイプまで種類も豊富となっています。
使わないに越したことのないアイテムではありますが、自分がどれだけ安全運転を心がけていても車に比べ大事故に繋がる可能性の高いバイクには、エアバッグ内蔵型ジャケットはこれから益々重要となる安全装備と言えるでしょう。導入をお考えの方は是非参考にしてみてください。